2018.01.13.公開 (2022.02.11.更新)
世界のスマホ中古市場でiPhoneが売れる訳
スマホの中古市場で盛んに取り引きされているiPhone。なぜiPhoneばかり取り引きされて日本メーカーのスマホは人気がないのか?これまで世界各国を渡り歩いて来た実績を基にお話しさせて頂きます。
ブランドとしての価値
中古スマホの市場において、圧倒的に人気の高い中古iPhone。なぜ中古iPhoneだけが盛んに取り引きされているのでしょうか?
これまで10カ国以上渡り歩いて来た経験から見えてきたものがあります。
そのひとつが、圧倒的なブランド力。
Appleという会社は2018年現在、時価総額世界一で電子機器メーカーとしては最も認知度の高い会社ともいえます。
そんなApple社の販売するiPhoneはこれまた世界中で知らない人はいないと言っても過言では無いスマホです。例えば、アメリカと国交の無いはずのキューバやシリアなどでもiPhoneの人気は高く、特に若い世代に圧倒的な支持を集めています。余談ですがAppleが正式に進出している国は22カ国(中国に香港、マカオ含む)で、日本、アメリカやヨーロッパの他、以外な国としてはブラジル、トルコぐらいです。ではなぜシリアやキューバの若者達はAppleそしてiPhoneというブランドを知っているのでしょうか?
結論から申し上げるとインターネットの普及により、国境を超えて情報が伝わるのです。この波はいくら政府が止めようと検閲や情報のアクセスに制限をかけたところで、人の往来(観光やビジネス渡航)によって外国の情報はすぐに広まるということを物語っています。
そして世界中に広まったiPhoneブームですが、今でも途上国では偽物のiPhoneが多く見受けられます。途上国の地方に行き私どもエコケーが扱う中古のiPhoneを見せると、「あれ?このiPhoneすごく動きいいね!!」などと言って、自分の持ってるiPhoneと比べる若者がいます。この若者はこれまで自分が持っていたiPhoneを本物と信じていましたが、本物のiPhoneを見て初めて自分が持っているのは偽物だと気づいたのです。
このように圧倒的なブランド力そして世界的なiPhoneブームの影には偽物の普及というAppleにとっては悩ましい問題も世界では起こっているのです。
修理部品の普及
ご存知の方も多いかと思いますが、私、執行達也の前職は中古車販売業です。
今でも車は大好きなので旅先の国で走る自動車などを見れば、所得の大小や趣向、貿易対象国などがある程度わかります。
そして、これまで多くの国と地域を渡り歩いた結果、世界で最も人気が高いのはトヨタの自動車であることが実感として湧いて来ます。しかし、なぜトヨタの自動車は人気が高いのでしょうか?これには大きく2つの理由があります。
1.壊れない
車好きの私が最も壊れにくいメーカーは?と聞かれると即応でトヨタと答えます。同時に最も退屈なメーカーは?との答えにもトヨタと即答します。個人的にですが、トヨタは先進的な技術を好まず、常に盤石な形で車を作ってきました。ですので、最新のテクノロジーといった部分では弱いですが、壊れないという部分では群を抜いて一位だと思います。
2.部品が世界中どこにでもある
これは特にトヨタが意識して行った訳ではありませんが、恐らく壊れにくいという評判から、トヨタ車の人気が高まり、人気があるから中古車や事故車も捨てずに置いておいて、部品として活用する流れが自然と出来上がったと思います。
車の話しからスマホの中古市場に話しを戻してみましょう。
海外の中古スマホ市場においても、壊れにくいというキーワードは非常に重要です。どこの国の人だって、自分の買ったものが壊れるということに抵抗がありますし、お店もクレーム対応をするのは面倒です。しかし、この壊れにくさと言った部分、実は日本メーカーの方が圧倒的に初期不良が少ないのです。過去にとあるメーカーさんに聞いたところ日本のメーカーは初期不良が0.1%起きると納品先から怒られるそうですが、iPhoneは1%ほどあるそうです。そのくらい初期不良率として差があるのです。ではなぜ日本メーカーのスマホは世界で売れないのか?
▼下記、私が実際に海外のバイヤーと交渉した時の会話です。
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執行 「いつもiPhone買ってくれるけど、日本製の中古Androidも買ってくれない?」
海外バイヤー 「いいよ。どのモデル?サンプル頂戴よ。ブラザー」
執行 「これなんだけど」
海外バイヤー 「あー。SONYのXperiaね!ブラザー」
執行 「そう。これ日本でも人気で、アメリカでも中古で$200ぐらいで売られてるんだよ。いくらで買ってくれる?」
海外バイヤー 「いやー。厳しいよブラザー」
執行 「なんで?なんで?? 俺のことブラザーって呼ぶ割にケチだよね。」
海外バイヤー 「だってさ、日本製って超いいものだって知ってるよ。壊れにくいし、スペックも良い。でもさ、もし10台買って1台でも壊れたら、$200丸々損だよね。部品も一緒に卸してくれるならいくらでも買うけど、部品が無いと厳しいよブラザー」
そう。部品が無いんです。
日本のスマホは中古市場で部品が出回っていないため、国内でも海外でも非常に売りにくい商材なのです。
では、Appleは部品を供給しているのか?
実はこれもNO。基本的にAppleは部品のみを中古市場には解放しておらずiPhoneの部品を手に入れる事は困難を極めます。
でもこれではiPhoneも売れないという事になってしまいますよね?
感の良い方はお気付き頂けたでしょうか?
そう、世界で修理用として普及しているiPhoneの部品はニセモノ(コピー品もしくは互換品)なのです。ニセモノと言うと少し語弊があるので、アップルのロゴが入っていない互換品と思って頂いた方が良いと思います。この互換品の部品は世界中で取り引きされており、この部品の普及こそがiPhoneの人気を今も支え続けている屋台骨なのです。
Appleから見るとコピー品という悩ましい問題の影で、互換部品の普及が中古iPhoneの流通を下支えしており、中古iPhoneの人気が、新品iPhoneの販売促進に一役買っているという何とも奇妙な構造が出来上がっているのです。
スマホの中古市場とは新品の人気度、ブランド、部品の供給、需要と供給のバランス、そして価格の5つがうまく絡み合って構成されており、これらを慎重に見定めながらどの国、どの地域で、どのスマホを何台販売するかを決定する必要があります。
常に世界中の情報を収集して取り引きを行う非常に難しい商売ですが、逆にいうと非常に面白く、やりがいのある商売とも言えるので、新規参入やご相談等あればお気軽にお声がけください。私もしくはエコケーでお手伝いできる事であれば何でもやらせて頂きます。