2022.04.26.公開 (2023.09.01.更新)
SDGsに欠かせない3R(リデュース・リユース・リサイクル)身近にできる取り組みも紹介
環境保護の取り組みとして「3R(スリーアール)」という略語を耳にする機会が増えてきました。今回は、世界が掲げる目標である「SDGs」に関わりが深い3Rについてご紹介します。
3R(リデュース・リユース・リサイクル)とは?
3R(スリーアール)とは「リデュース・リユース・リサイクル」のそれぞれの頭文字を取った略語です。
Reduce | (リデュース) | ゴミの発生を減らすこと |
Reuse | (リユース) | くり返し使うこと |
Recycle | (リサイクル) | 資源として再利用すること |
20世紀は「大量生産+大量消費+大量に捨てる」という時代でした。これにより地球全体の環境破壊が深刻化し、気候変動などを引き起こす大きな問題となっています。
そのため現代では生産者、消費者のどちらもゴミの発生を減らし、資源の利用を節約+再利用することに注力し、環境への負荷を減らす「循環型社会」へ転換するようになりました。
3つの「R」はそれぞれ独立した行動ではなく、まずは「①ゴミになるものを減らし、②使えるものは使い続ける、③どうしてもゴミになってしまうものは資源として再利用すること」という優先順位があります。
3Rはこのようなサイクルを理想とし【限りある資源を守るための世界共通の約束】になっています。
3R活動とは?
「3R活動」とは、ゴミ削減のための取り組みを指します。地球温暖化・大気汚染・資源の枯渇などのさまざまな課題に対し、2015年に国連が採択した「SDGs(持続可能な開発目標)」が目指す持続可能な社会の実現に深く関わっています。
3R+リニューアブル:身近にできる取り組み
「環境破壊を止めよう」というと難しいイメージがありますが、3Rは家庭内でもすぐに始められる取り組みです。また、近年新たに「リニューアブル」というワードも注目を集めています。
「リデュース・リユース・リサイクル」+リニューアブルについて、それぞれの違いと私たちにできる具体例をご紹介します。
Reduce(リデュース)
リデュースは元々「減らす」という意味です。3Rでは「ゴミの発生自体を減らすこと」「資源のムダづかいを減らすこと」を指しています。
消費者の立場として「ゴミになるものを買わない、もらわない、長く使えるものを選ぶ」などを意識し、ゴミになるものを減らすことが大切です。
なお、身近にできるリデュース活動の具体例は以下です。
- 過剰包装している商品を避ける
- ペットボトル飲料を買わずに、水筒を用意する
- 修理できるものは修理(手入れ)し、長く使う
- 洗剤やシャンプーは詰め替え用があるものを選ぶ
- 生産時に資源を節約して作られた省資源の製品を選ぶ
- 買い物の際はマイバッグを持参し、必要以上にレジ袋を購入しない
使用頻度が少ないものは、シェアサービスの利用も検討してみましょう。また、食材を購入する際は適量を購入する(食べきれないほど買わない)、本当にレジ袋が必要かを考えることも「リデュース活動」につながります。
Reuse(リユース)
リユースとは「再利用」という意味です。使用済みの物でも、譲り合うことでもう一度使うことができます。
リユース活動の具体例は、以下です。
- リサイクルショップを利用する
- 読み終えた本を古本屋に持っていく
- 使い終えた携帯電話やスマホを買取店へ持っていく
- 着なくなった服などはフリーマーケットで人に譲る
- リターナブル容器(販売店で回収して洗浄し、再利用する容器)の商品を選ぶ
近年流行っている「フリマアプリ」の利用も、リユース活動の一つといえます。
Recycle(リサイクル)
リサイクルは「(資源を)再利用する」という意味です。日本は資源が少ないため、資源を再利用する取り組みはとても重要です。しかし、3Rではそもそも「ゴミを出さない」ことを重要視しており「リサイクルするゴミも少ないほど良い」といわれています。
身近なリサイクル活動の具体例は、以下です。
- リサイクルで生産された商品を選ぶ
- ビン、缶、ペットボトル、容器包装プラスチックなどを分別する
- 家電を捨てる際は、住んでいる町の家電リサイクルの決まりを守る
日本では多くの自治体が新聞や雑誌、段ボール以外にも、お菓子やボックスティッシュなどの空き箱などを資源ゴミとして回収しています。
これらは可燃ゴミとして燃やしてしまえばただのゴミになりますが、メモ用紙ほどの小さな紙でも分別することでまた資源として再利用できます。
まずは私たちが住んでいる町の「ゴミの分別」について調べてみましょう。
Renewable(リニューアブル)
近年、3R(リデュース・リユース・リサイクル)に加えて「3R+Renewable」という言葉が使われています。「Renewable(リニューアブル)」とは「再利用可能な資源に替えること」をいいます。
今使われているレジ袋などの多くはプラスチックで作られており、一度使い終えるとゴミになります。そこで、くり返し使える素材として「バイオマスプラスチック」が考えられました。
バイオマスプラスチックの原料は「植物」で、微生物による分解が可能です。資源を循環させることができるため、環境への負荷が大きいプラスチックからバイオマスプラスチックのような「循環型の素材」に替える取り組みが「リニューアブル」です。
買い物をする際にリニューアブルな素材を使ったレジ袋や容器を選ぶことで、身近にできる環境保護のための取り組みになるでしょう。
家庭でできる3R活動の取り組み
ここからは、家庭でできる3R活動の取り組みをご紹介します。3R活動の大切なポイントは「自分たちの生活を、ゴミを出さないライフスタイルに変えていくこと」です。
日々の行動を「3R」という観点で見直し、少しずつ実践するために具体例を解説しましょう。
家庭でできる「リデュース」の取り組み例
はじめに「リデュース」活動に関する取り組みをご紹介します。単に「買わない」「使わない」というルールを設けるのでなく、必要なものと不必要なものを見極めていくことが大切です。
①マイバッグを利用する
買い物をする際は、マイバッグを持参する習慣を身につけましょう。急に買い出しが必要になることもあるため、普段使っているカバンにマイバッグを入れておく、自家用車にマイバッグをのせておくなど、必要なときにすぐ使えるよう準備しておきましょう。
最近ではワンタッチでカンタンにたためるマイバッグも販売されています。このような製品を選ぶことで、マイバッグの継続使用につながるでしょう。
②ものを長く大切に使う
安価な商品であふれている現代では「安いけれど、壊れやすい」という商品が混在しています。買い換えることで結果的に出費が増え、ゴミが増えることにもつながります。
目的や使用頻度にもよりますが、できる限り長持ちする商品を選び、大切に使う習慣をつけましょう。
③フードロスに気をつける
食料品を買う際は、食べ切れる量、使い切れる量を意識して購入しましょう。また、食べ放題などは食べ切れる量を考えて注文しましょう。
④簡易包装・詰め替え用の商品を使う
近年、簡易包装や詰め替えタイプがある商品が増えてきました。シャンプーやリンス、食器洗剤や洗濯洗剤など、詰め替え用がある場合はできるだけ詰め替え用の商品を購入し、自宅にある容器に詰め替えて使いましょう。
⑤レンタルやシェアリングサービスなどを利用する
使用頻度が少ないものは、レンタルやシェアリングサービスを活用しましょう。日頃から車を使う必要がない方はカーシェアリングを、スキー用品や趣味のものはレンタルサービスを利用することで出費も抑えることができます。
不要になった際にゴミになることも防げるため、物を増やしすぎない+不要なゴミを増やさない生活にシフトしましょう。
家庭でできる「リユース」の取り組み例
続いて「リユース」活動に関する取り組みをご紹介します。
①リメイクして使う
履かなくなったジーンズはバッグに、襟元が伸びた洋服はエコバッグにリメイクするなど、不要になった衣料品を再利用しましょう。不要になったら即処分するのではなく、二度、三度と活用することで環境にもやさしいです。
②リターナブル容器を利用する
「リターナブル容器(一度消費した瓶や容器などを回収+洗浄し、くり返し利用する容器)」を使いましょう。一升瓶、ビール瓶、炭酸飲料の瓶、弁当箱など、リターナブル容器を使用している商品を購入することで、3R活動につながります。
③フリーマーケットなどを利用する
趣味の物や日用品、すぐにサイズアウトしてしまう子ども服などは「フリーマーケット」を活用しましょう。フリーマーケットで購入し、不要になった際にまたフリーマーケットに出品する流れは「3R活動」としても、とても良い例です。
④使い終えた携帯電話・スマホは再利用する
使い終えた携帯電話やスマホを自宅で保管している方は、中古携帯買取サービスを活用しましょう。買取実績が多い企業であれば、個人情報などのデータも適切に消去してくれます。
>>楽天市場で月間優良ショップ認定受賞「男前ケータイ」の公式買取サイト
>>「不要になったスマホの処分方法とリスク|放置するにもリスクあり」を読む
家庭でできる「リサイクル」の取り組み例
最後に「リサイクル」活動に関する取り組みをご紹介します。
①資源ゴミを分別する
白トレーやペットボトル、雑誌など「資源ゴミ」としてリサイクルできるものは分別する習慣を身につけましょう。地域の回収場や資源ゴミ回収ステーションなどを活用し、資源ゴミを分別して出すことでリサイクル活動に貢献できます。
家庭内でもカゴや紙袋などを準備し、分別しやすい仕組みを作ってみましょう。
②リサイクル品を利用する
古紙100%で作られたメモ用紙や文房具、トイレットペーパーなど「リサイクル品」と表示しているものを選んで購入しましょう。
日頃からリサイクルマークの識別表示や製品に表示している内容を確認することで、子どもにとっても「学び」となります。身近なところからリサイクル活動に貢献しましょう。
③フードロス商品を利用する
イベントなどで大量にキャンセルになった「フードロス商品」を利用することも、リサイクル活動につながります。(フードロス商品は、通常商品より割引価格で販売されている傾向があります。)
フードロス商品が販売されている場合は、積極的に活用しましょう。
④正しい家電リサイクルを行う
エアコン、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機などの家電は、家電リサイクル法の対象となる廃棄物です。そのため、処分の際には「リサイクル料金」を支払う必要があります。
料金は製品のメーカーやサイズにより異なるため、あらかじめメーカーやサイズを控えておきましょう。家電リサイクルについては法律に従い、正しく行いましょう。
3RとSDGsのつながり
3Rは「環境保護のための取り組み」として広まりました。一方で、2015年 国連で採択された持続可能な社会を目指すための目標「SDGs」は、地球の環境と資源を守りつつ経済を発展させることがテーマとなっています。
世界では毎日大量のゴミが発生しており、その処理に多額の資金がかかり、二酸化炭素を発生させています。また、適切に処理されていないゴミが環境を汚染していることも事実です。
ゴミになるものを減らす取り組み「3R」やゴミを資源として再利用する活動は、SDGsのテーマである「地球の資源の枯渇、地球温暖化、海洋汚染などの問題解決」として欠かせない取り組みです。
>>関連:「【SDGs】目標13「気候変動に具体的な対策を」私たちにできること」
ゴミ問題はSDGsの「目標12(つくる責任つかう責任)」「目標14(海の豊かさを守ろう)」などでも大きな課題として取り上げられており、企業の間でもゴミが出にくい製造方法や再利用しやすい原料を使った製品づくり、再生可能な素材の開発といった取り組みが広がっています。
新しい技術の開発は、地球の環境と資源を守りながら経済を発展させるために欠かせないものです。可燃ゴミと資源ゴミを分別する、長く使えるものを選ぶという「3R」の考え方を意識することは家庭でもできることです。
環境を守りながら経済を持続的に発展させるために、今私たち一人ひとりが3Rを意識した生活にかえていくことが大切です。
>>関連:「SDGs達成に向けて個人や企業が身近にできる事|小さな取り組みから」
3R(リデュース・リユース・リサイクル)を通して地球の未来を考えよう
今回はSDGsの目標達成に欠かせない「3R」についてご紹介しました。今もなお、日本の食品廃棄物は年間600万トンを超えており、中には「まだ食べられるけれど捨てられている食品」も多いです。
世界でもフードロスの問題は深刻で、SDGsでも解決すべき課題の一つです。コロナ禍により外出を控える人が増え、自炊による生ゴミや買い占めによるゴミの増加が問題視されています。
フードロスのみならず、家庭内のゴミを積極的に減らす工夫も大切です。例えば牛乳パックや食品トレー、ペットボトルなどを使った工作や、自分の家からどのようなゴミが出ているか、どのように分別するかを調べてみるのも良いでしょう。
毎日の暮らしの中で3R(リデュース・リユース・リサイクル)+リニューアブルにあたるものがあるか調べてみましょう。
>>関連:「SDGs達成に向けて個人や企業が身近にできる事|小さな取り組みから」