2022.03.08.公開 (2023.09.01.更新)
【SDGs】目標5「ジェンダー平等を実現しよう」|日本の課題も解説
日本では小・中学校の9年間を「義務教育」とし、すべての子どもたちが教育を受ける権利を持っています。しかし、世界では一生学校に通うことができない女の子がたくさんいます。
また、カラダが完全に成長していない10代のうちに結婚、出産をさせられる女の子も多いです。今回は、世界や日本で抱えている「ジェンダー問題」に関するお話です。
【SDGs】目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?
SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された【2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標】の1つです。
「ジェンダー」とは?
「男性は◯◯であるべき」「女性は◯◯であるべき」と、周りが無意識のうちに決めている男女のちがいを「ジェンダー」といいます。「男性は働き、女性は家事をする」「男性は青、女性はピンク」という先入観もジェンダーの不平等や差別を生んでいます。
世界で起きている問題
世界では6〜11歳の子どものうち、一生学校に通うことができない女の子の割合は、男の子の2倍です。さらにユニセフが公表した世界の推計データでは、約7億5,000万人の女性が18歳未満で結婚しており、そのうち3人にひとり以上(約2億5,000万人)は15歳未満の女の子です。
他にも人身売買で売られてしまう、大人になっても外で自由に働くことが許されず、家事や育児に専念する以外は認められない人々もいます。
また、世界の女性の3人に1人が暴力をふるわれ、なかには命を落としてしまう人々もいます。最高気温が50度を超えるなか、女の子だけが毎日水を汲みに行く地域もあります。
このように、労働だけに時間を取られ、十分な教育が受けられない女の子は少なくありません。
>>【SDGs】目標1「貧困をなくそう」|私たちにできることを探そう
ターゲット
持続可能な開発目標・SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲットは以下のとおりです。
5-1 | すべての女性と女の子に対するあらゆる差別をなくす。 |
5-2 | 女性や女の子を売り買いしたり、性的に、また、その他の目的で一方的に利用することをふくめ、すべての女性や女の子へのあらゆる暴力をなくす。 |
5-3 | 子どもの結婚、早すぎる結婚、強制的な結婚、女性器を刃物で切りとる慣習など、女性や女の子を傷つけるならわしをなくす。 |
5-4 | お金が支払われない、家庭内の子育て、介護や家事などは、お金が支払われる仕事と同じくらい大切な「仕事」であるということを、それを支える公共のサービスや制度、家庭内の役割分担などを通じて認めるようにする。 |
5-5 | 政治や経済や社会のなかで、何かを決めるときに、女性も男性と同じように参加したり、リーダーになったりできるようにする。 |
5-6 | 国際的な会議で決まったことにしたがって、世界中だれもが同じように、性に関することや子どもを産むことに関する健康と権利が守られるようにする。 |
身体的な性別にとらわれない「LGBTQ」
これまでは、性のちがいを「男性・女性」の2つに分けられていました。しかし、現代では新たな性の認識として「LGBTQ」が普及し始めています。
「LGBTQ」とは?
生まれつきの性別ではなく、カラダと心の性がちがう人や恋愛対象が同じ性別の人を表します。
L | レズビアン(女性同性愛者) | カラダは女性、恋愛対象は女性 |
G | ゲイ(男性同性愛者) | カラダは男性、恋愛対象は男性 |
B | バイセクシャル(両性愛者) | 男性も女性も恋愛対象 |
T | トランスジェンダー | 生まれたときの性別と自分で認識している性別が異なる人 |
Q | クエスチョニング | 自分の性別が分からない、決めていない人 |
Q | クィア | 性的少数者(セクシャルマイノリティ)の総称 |
ジェンダー平等に向けた日本の課題
男女の格差を比べた2021年の「ジェンダーギャップ指数(経済・政治・教育・健康の分野で男女のちがいを比べたもの)」によると、日本は145カ国中120位です。
日本は教育や健康の分野では世界平均と同じくらいですが、世界から見ても遅れているケースがあります。具体的には、女性が育児をしながら安心して働き続けるために必要な保育園の数が足りておらず、女性が社会で活躍することの妨げとなっています。
また、政治家などの男女比を比べた場合、大幅に女性の数が少ないです。まだまだ社会の中で男性、女性が平等であるために解決すべき問題があると言えます。
すべての人が自分らしく生きるためにできること
ここからは「すべての人が自分らしく生きるために身近にできること」をご紹介します。
企業ができること
日本国内でも女性の活躍を推進する取り組みを始めている企業は増えてきました。はじめに、企業ができることをご紹介します。
①女性管理職を増やすためのプログラムやセミナーの実施
女性リーダーを育成するプログラムや、出産・育児・介護などを含めたキャリア構造を支援するプログラムを導入している企業が増えています。
これまで男性社会のイメージが強かった業界でも、女性の幹部社員への登用や女性が働きやすい環境づくりを進める企業が少しずつ増えています。
②ジェンダーフリーの更衣室やトイレの設置
すべての社員が自分らしく働き、イノベーションを生み出すことを目指す「ダイバーシティ経営」が推進されています。ダイバーシティ経営を掲げる企業のなかには、性別や性自認に関係なく使える更衣室やトイレを設置しているところもあります。
このような取り組みにより、LGBTQ当事者の権利が守られると同時に、差別や偏見の排除にもつながります。
家庭でできること
ここからは「ジェンダー平等」に向けて家庭でできることをご紹介します。
①家事を平等に分担する
普段、掃除や炊事などの家事は誰がどのくらい担っているか、毎日、仕事と家事に追われている家族はいないか考えてみましょう。
家族がそれぞれどんな家事をしているか書き出すことで、ジェンダーバランスは見えてくるはずです。その際、家事の量だけでなく大変さの違いについても考え、家族で同じように分担しましょう。
②育児について話し合う
2019年の男性の育児休業取得率はわずか7.2%というデータから、子育てに関わる時間は今もなお女性の方が多いことがわかります。家庭内におけるジェンダー平等を実現するためには、まずは休暇の取得や休日の過ごし方について検討してみましょう。
まとめ:ジェンダーに関する身近な問題・課題を見つめ直そう
ジェンダーの平等は、持続可能な社会を築くための「基盤」になります。また、ジェンダーの格差や偏見による差別が減ることにより、苦しむ人が減るだけでなく、文化や経済、公共サービスなどのより良い発展が見込めるとも言われています。
まずは家庭や職場で困っている人はいないか話し合い、新たに取り組むことで解決できる問題はないかなど、身近なところから考えてみましょう。
>>「SDGs達成に向けて個人や企業が身近にできる事|小さな取り組みから」を読む